夏川清美は全身が燃えるような恥ずかしさを感じた。
以前、彼女と結城陽祐は様々な噂を立てられていたが、それは部屋の中で、人々が勝手に想像していただけだった。
でも先ほどは……
男の甘い仕草を思い出し、夏川清美は思わず結城陽祐を睨みつけた。
結城陽祐は手の甲で鼻を押さえながら困惑した。周りにまだ他の人がいることを完全に忘れていたと言えるだろうか?
「わあ、すごい!」
「久美ちゃん、すごいわ!」
「はっはっは、さすが私のひ孫だ。おじいちゃんと同じように立派だ」老人は大声で笑った。
他の人々も一斉に拍手し、パチパチという音が庭中に響き渡った。
二人の困惑した人物は、周りの興奮した声に引き寄せられ、同時にマットの中央を見た。すると、久美ちゃんが何度も努力した末に、ついに寝返りに成功したところだった。
小さな坊やは大将のようにマットの上に横たわり、手には褒美のフクロウの起き上がりこぼしを握っていた。周りの人々の喜びなど全く気にせず、マイペースにフクロウの耳を噛みながら、時々周りの嬉しそうな人々を見て、恩着せがましく「くくく」と笑っていた。
傍らの夏川清美と結城陽祐は複雑な表情で見ていた。久美ちゃんが皆のおもちゃなのか、それとも皆が久美ちゃんの道化なのか分からなかった。
しかし、小さな坊やが寝返りができるようになったことは、赤ちゃんから大きな赤ちゃんへの成長を意味し、庭中は歓声と笑い声に包まれた。老人は今夜の夕食は全員に鶏の足一本追加すると宣言した。
これで皆はさらに喜んだ。
夏川清美はこの光景を見て、おかしくも温かい気持ちになり、知らず知らずのうちに羨ましさも感じていた。
彼女は思った。久美ちゃんがこのような環境で育てば、きっと温かく幸せな子に育つだろうと。
「何を考えているんだ?彼が何も心配なく過ごせるのは今だけだ。少し大きくなれば、財界の虎や狼たちへの対処を学ばなければならない。本当にお人好しに育ったら、君が泣くことになるぞ」結城陽祐は夏川清美の心を見透かしたかのように冷ややかに言った。
夏川清美の幻想は一瞬で打ち砕かれ、男を嫌そうに見て、立ち上がって久美ちゃんと遊びに行った。
ママが加わったことで、久美ちゃんはさらに嬉しそうになり、庭中は笑い声に包まれた。