第366章 20億1000万が消え失せた

夏川清美は熱が下がってから、体調の回復が早かった。

あの高熱は突然やってきて、不思議なことに突然消えてしまい、翌日には夏川清美はお爺さんと一緒に太極拳を練習し、屋敷の中は普段通りに戻った。

特に結城陽祐の張り詰めていた心が、やっと緩んだ。

貝塚お爺さんを訪ねたことについては、彼はきれいに隠していた。

健二は噂好きだが、軽重をわきまえており、お爺さんにも一言も言わなかった。

そしてあの日の夕方、二少がどこへ行って何をしたのかは、夏川清美の発熱と同様に、誰も尋ねることはなかった。

しかし体調が回復したので、いくつかの清算をすべき時だった。

鈴木末子はあの日病院を出てから、ずっと姿を見せず、会社のお金も返していなかった。

代わりに夏川清美に監視カメラの映像を送ってきた。

夏川清美が開くと、あの日彼女と結城陽祐が病院で林富岡を見舞った時、鈴木末子が芝居がかった様子で土下座して、病院から追い出さないでくれと懇願する映像が映っていた。

映像のアングルは良く、林富岡の病弱さ、鈴木末子の無力で弱々しい哀れな様子、そして彼女の無情さ、結城陽祐の冷血さを余すところなく映し出していた。

この映像がメディアに流出したら、彼女や結城陽祐、さらには結城財閥にどれほどの影響があるか想像できた。

「どう思う?」映像を見終わって、夏川清美は最近木村久美をよく見ている男性の方を見た。

「彼女がこの芝居を打った時から、二手目の準備をしていたとは思わなかったな」結城陽祐は可笑しそうに言った。もし鈴木末子が映像を送ってこずに、いきなり出してきたら、少し面倒なことになっていたかもしれない。でも送ってきた以上、まだ出せると思っているのか?

「私も思わなかった」夏川清美は肩をすくめた。鈴木末子が慌てて金を集め、林富岡との関係を壊してまでしたのは、投獄を恐れてのことだと思っていたが、今見るとそれも理由の一つだが、最も重要なのは自分の身を守るために金を貯めることだった。

結城財閥の株式の件が駄目になった後、林富岡が危篤状態になり、残された遺産を半分に分けなければならないことを恐れて、先手を打ったのだ。

ただし、人は時として欲張りすぎるのはよくない。