第381章 ツンデレ美男の妻をあやす深い手管

「くすくすくす……」

夏川清美が車から降りると、久美の笑い声が聞こえてきた。少し憂鬱だった気分は、その笑い声で癒され、顔の暗さが消え、思わず口角が上がった。

健二は、若旦那が遠くから若奥様を出迎え、小少爺を脇に抱えている様子を見て、その光景が衝撃的で印象的で、特に記念に残す価値があると思い、こっそりと携帯を取り出してカメラを向けようとした。しかし、若旦那に向ける前に冷たい視線を感じ、すぐに携帯をしまい、両手を重ねて、特に真面目な様子で夏川清美の後ろに立った。

夏川清美は久美の笑い声を聞いて、藤堂さんと雲さんがどうして子供を車庫まで連れてきたのかと不思議に思っていたが、振り向くと結城陽祐が書類を抱えるように久美を抱えているのを見て、「……」

それなのに久美は父親の期待に応えるかのように、このように抱えられて非常に喜び、くすくすと笑い声が止まらなかった。

夏川清美は言葉に詰まりながら息子を見て、初めて子育てをする美人の結城を見た。

「やられる方も、やる方も望むところ」という諺を思い出した。

しかし次の瞬間、結城陽祐は久美を取り出して彼女の腕に押し付けた。「久美があなたを探していた」

夏川清美は急いで小さな子供をしっかりと抱きしめた。

しばらく母親に会えなかった久美は非常に嬉しそうで、夏川清美の胸に何度も顔をすり寄せた。

夏川清美は子供にじゃれつかれて笑い、先ほどの憂鬱な気分はどこかへ消えていた。

結城陽祐は満足そうに一瞥した後、少し不満そうな表情を浮かべた。白くて丸々とした小さな肉まんのような子供を見て、そんなに嬉しいのか?

嫌だな!

小さな肉まんは、ツンデレな父親の心を全く理解していなかった。夏川清美の胸で数回すり寄せた後、自分の食事を見つけ、遠慮なくすり寄せたり突っつき始めた。

傍らに立っていた結城陽祐の表情は肉眼で見てわかるほど険しくなり、まず健二に目を向けた。健二は身を縮めて、空気を読んで運転手を連れて立ち去り、ついでに結城陽祐の後についてきた雲さんも一緒に連れて行った。

一瞬にして結城家の私設車庫には、結城陽祐と夏川清美だけが残された。

夏川清美は非常に気まずく、小さな久美をつついた。「いい子ね、後で食べさせてあげるから」