第391章 おとなしくして、あなたの方が可愛いから

夏川清美は病床で表情を変える若い少年を見つめ、最後に苦しそうな表情を浮かべ、眉をひそめて目を閉じた。

「お兄さんより年上だから、お兄さんって呼んでもいい?」

「どうして?」

「お兄さんがいれば、守ってもらえるから。クラスの女の子がいじめられてたけど、お兄さんが仕返しをしてからは、もう誰もいじめなくなったの。だから私もお兄さんが欲しいの」

「いじめられてるの?」

「……そうでもないかな」少女は躊躇いながら答えた。

「もしいじめられたら教えて。仕返ししてやるから」

「本当?」

「もちろん本当さ。男の子は約束を守るものだからね」

「ありがとう、お兄さん。お兄さんって優しいね」

「バカな蝶々」少年は言った。

その後、親しくなってからは、少女はいつもお兄さんお兄さんと呼び続けた。まるで、そうすれば本当に守ってくれる人が現れるかのように。