第396章 私を噛むなら、私も噛んでいい?

「はっはっは、いい考えだ!」

結城陽祐は怒って「出ていけ!」と叫んだ。お爺さんは笑いを抑えきれず、健二に向かって親指を立てた。

こんなに取り乱した孫を見たのは初めてで、気分は上々だった。

結城陽祐は自分の祖父を嫌そうに見て、屋敷の使用人たちはお爺さんほどの度胸はないものの、必死に笑いを堪えているのが分かった。床に散らばった目を覆いたくなるような本を見下ろすと、気分は更に悪くなった。

振り返って夏川清美を見ると、木村久美を抱きしめたぽっちゃりくんは相変わらず微笑んで彼を見ていた。結城陽祐は急に恥ずかしくなり、ぎこちなく身を翻して「書斎に戻る」と言った。

「お前の本を持っていけ」とお爺さんが結城陽祐の後ろから声をかけた。

結城陽祐は一瞬立ち止まり、突然足早に階段を上がっていった。