夏川清美は「うん」と答えた後、結城陽祐の言葉の意味を理解した。
京都に戻るの?
以前から京都に戻ることは分かっていたが、実際に出発が近づくと、まだ多くの処理すべき事があることに気づいた。
「五日後に出発だ。この数日で何か用事があれば一緒に片付けられる。終わらなくても焦る必要はない。正月にはまたお爺さんに会いに戻ってくるんだから」結城陽祐は夏川清美の心配を察したかのように言った。
「お爺さんは私たちと一緒に行かないの?」夏川清美は意外そうに尋ねた。
「あちらは状況が複雑だ。お爺さんはご高齢なんだから、ここでゆっくり過ごさせた方がいい。腹を立てて体を壊されても困る」結城陽祐は冷ややかに答えた。
夏川清美は彼を横目で見て、「お爺さんがこの言葉を聞いたら、怒り出すと思うわ」と言った。