宗像校長は結城陽祐がこのような人物だとは思いもよらなかった。
しかし、学生たちの喜びとは対照的に、50代の老人は心を痛めていた。2000万円もあれば、どれだけの研究ができ、学生たちにどれだけの学習材料や手術サンプルを提供でき、どれだけの実験動物を育てられることか。それを施設改善と緑化に使うなんて、なんという無駄遣いだろう!
しかし、どんなに心が痛んでも、宗像校長はただ我慢するしかなかった。
スポンサーは彼らなのだから。
一連の公式な式典の後、矢崎碧里が学生代表として挨拶を行い、先ほどの騒ぎも finally落ち着いた。皆は壇上の美男美女を見つめ、美しい人は違うと感嘆し、男女問わず目の保養になると、徐々に先ほどの林夏美のことを忘れていった。
神崎裕美は夏川清美を攻撃する機会を見つけ、「正陽様はただあなたを哀れんだだけよ。自分が特別だなんて思わないで。見たでしょう?碧里ちゃんのような人でこそ、正陽様と並び立てるのよ」
しかし、前の三人は彼女を無視した。
ただの犬の遠吠えとして。
「なんてひどい学校だ?講堂をこんな遠くに建てるなんて、この老人を殺す気か?」開校式がまさに終わろうとしているとき、年老いた声ながら力強い声が後ろの扉から突然響いた。
全教職員と学生が驚いて、一斉に振り返った。
ただ夏川清美と結城陽祐だけは、異なる場所に座っていたにもかかわらず、同時に心臓が飛び上がった。
お爺さんがなぜここに?
「お爺様、お静かに。他の人に聞こえたらどうします?」韓さんのお母さんが懸命に諭したが、振り返ると千人以上の学生が一斉に彼らを見つめているのに気づき、驚いて一歩後ずさりした。「夏川お...お爺様...」
「聞こえたらどうだというんだ?私が言っているのは事実だろう。それに、お前は一日中もごもごして、私が叱ったか虐待でもしたのか?」夏川義経は杖をつきながら、背中を丸めて韓さんのお母さんの後ろから入ってきた。
そして韓さんのお母さんと同様に、千以上の複雑な目と向かい合い、老人は一瞬驚いた後、怒鳴った。「何を見ている?老人を見たことがないのか!」
一同、「……」
見たことはあるが、こんなに気性が荒く、他人の領分で大声を出すだけでなく、あれこれ文句を言う人は見たことがない。