久美のこの反応は結城和也の予想外だった。
さらに予想外だったのは、目の前の見知らぬ男性に驚いた久美が、結城和也の胸に身を寄せながら、甘えた声で「パパ...パパ...」と呼んだことだ。
結城陽祐が出て行く前より、ずっと上手に呼べるようになっていた。
結城和也は一瞬凍りついた。
久美を抱きながら、困惑と恥ずかしさで結城陽祐を見つめ、逃げ出したい衝動を抑えながら「兄さん...兄さん、落ち着いて、説明させてください!」
結城陽祐は冷たい目でこのいとこを見つめ、そして結城和也の胸に顔を埋め、時々顔を上げては彼を盗み見ては、すぐにまた隠れる小さな子を見て、胸が痛むように目を閉じてから、自分の部屋へと向かった。
廊下には久美を抱いたまま途方に暮れる結城和也だけが残された。彼は去っていく結城陽祐を呆然と見つめた。これはどういう意味だろう?