第567章 私は久美を連れて清美を探しに行くつもり

結城陽祐はもちろん、二人のお爺さんたちも凍りついたままだった。

次の瞬間、結城陽祐は突然しゃがみ込んで、木村久美を抱きしめた。

「まままま...」パパに抱かれた小さな子は周りの雰囲気を全く感じ取れず、もがきながら結城和也に小さな手を伸ばし、自分のクッキーをほしがっていた。

結城和也は泣くべきか笑うべきか分からず、低い声で「この食いしん坊」と叱った。

叱った後、小さな子が泣き出すのを恐れて、クッキーを木村久美の手に渡した。

ようやくクッキーを手に入れた木村久美ちゃんは、とても嬉しそうに小さな手で握り、自分の口に運んだ。

結城陽祐の感情が落ち着くまでに、結城湊ちゃんはすでに半分のクッキーを食べ終え、結城陽祐の服にはクッキーの粉が散らばっていた。

この無邪気な小さな存在を見て、結城陽祐は先ほどの自分の取り乱しを自覚し、息子の頭を軽く突いて、自分で這わせた。

「下で話しましょう」結城陽祐は感情を整理し、二人のお爺さんに言った。

「僕は?僕は?いつ解放してくれるの!」結城和也は慌てて手を挙げた。

彼はすでに三ヶ月間結城陽祐を演じ、ミルクの作り方、おむつの交換、離乳食の作り方を覚え、木村久美がいつウンチをするかも瞬時に分かるようになっていた。知らない人が見たら、高級ベビーシッター養成所を開業する準備をしているのかと思うほどだった。

結城陽祐は彼をちらりと見て、お爺さんたちと一緒に階下へ降りていった。

床に座って木村久美と遊んでいた結城和也は困惑した表情を浮かべた。あの一瞥は一体どういう意味だったのか?まさかさらに三ヶ月続けることになるのか...

結城和也は絶望的に床に倒れ込んだが、小さな木村久美は彼の服を引っ張って上に這い上がろうとした。結城和也は目を白黒させ、「あぁ、おじさんが死んじゃう、久美ちゃん、おじさんを助けて...」

階段を降りていた結城賢治は言葉にできない思いで首を振った。

結城陽祐は結城和也という芝居がかった男に構う気分ではなく、階下で最近の三ヶ月間の状況を老人たちに説明し、夏川義経の方を向いて「夏川お爺さん、もう一度考えてみてください。佐藤清美が好きで、ずっと行きたがっていた場所はありませんか」と尋ねた。