立花雅と神木彰は結城陽祐の後ろに立ち、二少の震える手を見て、心が痛くて言葉が出なかった。
そんな時、夏川清美が木村久美を連れて別荘から出てきた。小さな子供は目が良く、すぐに結城陽祐を見つけ、小さな手を伸ばして「パパ、パパ…」と呼んだ。
夏川清美は木村久美の視線の先を見ると、二日ぶりに会う男性がカーキ色の薄手のニットを着て、階段に静かに立ち、彼女から目を離さずに見つめているのが見えた。
なぜか夏川清美の心は軽く突かれたように、不思議と痛んだ。
男性の眼差しがあまりにも痛々しく、まともに見ることができなかった。
なぜ後ろめたい気持ちになるのか分からなかったが、男性の視線の下では平然としていられず、その目を避けながら木村久美を庭に連れ出すと、男性が後を追ってきた。
「加藤迅と結婚式を挙げ直すって本当なのか?」結城陽祐は夏川清美の後ろに立ち、静かに尋ねた。