夏川清美は驚いて、顔を真っ赤にし、目の前の男性の大きな顔を見つめた。その唇の端には普段見られない邪悪な笑みが浮かんでいた。記憶を取り戻した彼女の心臓は制御不能に加速し、以前の甘い思い出の欠片が溢れ出てきた。
幸い理性は残っていて、夏川清美は体を縮こまらせ、「私...私、めまいが...」
「ああ、大丈夫。めまいが治るまで待てるよ」結城陽祐は夏川清美の赤らんだ頬を見て、やっと気分が良くなった。
夏川清美「...」まさに自分で自分の首を絞めるようなものだった。
「先に降りて」夏川清美は神経を張り詰めさせ、誰かが入ってくるのではないかと心配だった。
「いいよ。でも、めまいが始まる前に利子をもらわないと」結城陽祐はそう言って、夏川清美の艶やかな笑顔を見つめ、危険な笑みを浮かべた。
「んっ...」息を止められ、夏川清美は悔しそうに男を睨んだが、結城陽祐の深い愛情に満ちた眼差しと出会い、心臓は再び制御不能に加速した。昨日噛まれた時の混乱とは違い、夏川清美は今、多くの記憶を取り戻していた。二人の様々な思い出を覚えており、このような遠慮のないキスを受けても、嫌悪感どころか、体の痛みも忘れ、無意識に男の腰に手を回そうとした。すると、低いうめき声が聞こえた。