結城陽祐は電話を切り、しばらく我慢してから「あの厚かましい奴ら」とつぶやいた。
そして時計を見ると、まだ5時前だった。
就寝まであと4時間以上あることを考えると、結城陽祐はイライラした。
以前は昼間がこんなに長く感じなかったのに。
でも考えてみると、昨夜あんなに激しく攻めたから、今夜は布団を抱いて純粋に寝るだけかもしれないと思うと、さらに憂鬱になり、携帯を取り出して結城蓮に電話をかけた。「確か前に岡田監督には上手くいってない幼なじみがいるって言ってたよな?」
結城蓮は携帯を握りながら不思議そうな顔をした。二少がどうして突然彼らのプライベートに興味を持ち始めたのか?なんだか怖い気がする。
怖いと思いつつも、自分のことではないので、結城蓮は面白がって「ええ、それがどうかしましたか?」
「ああ、最近彼には随分と助けてもらったからな。いい感謝の方法が思いつかなくて、君から彼女を送ってくれないか」と結城陽祐は誠実に言った。
結城蓮は固まった。「……本当にそれでよろしいんですか?」
もし記憶が正しければ、その女性は岡田監督が触れてはいけない存在で、以前付き合っていたが浮気されて、その後この監督は遊び人になり、二人は二度と関わらないはずだが、今送るって?
「もちろんだ」と結城陽祐は断固として答えた。「彼女は十八線の女優だって聞いているし、ちょうど彼の新作映画には女性の脇役が必要だろう。君から送ってくれ。そうだ、できるだけ内密にしてくれ。岡田監督にサプライズを贈りたいんだ」
結城蓮「……」誰がこんなサプライズを望むんだ?
「ん?」返事がないのを見て、結城陽祐は眉を上げた。
「わかりました。今撮影中の作品にその女性は内裏女官寮の洗濯女として出演しているはずです。二少がおっしゃるなら、手配しておきます」と結城蓮は心を痛めながら承諾した。以前岡田桃花をこのことで嘲笑したのが自分の軽率さだったと後悔しながら、その上この狐のような人物に聞かれてしまった。
岡田がどうやって二少の機嫌を損ねたのか、こんな仕打ちを受けることになったのか!
満足のいく答えを得た結城陽祐は楽しげに電話を切った。岡田監督の今後の毎朝がこんなに幸せでありますようにと。
結城陽祐の気分が良くなり、仕事の効率も普段より上がった。