第641章 人を許してもらうには誠意が必要だ

コンコンコン。

夏川弥生が躊躇している間、外から急いたノックの音が聞こえ、次の瞬間、夏川清美が入ってきて、病床の人を申し訳なさそうに見ながら、「失礼します、夏川さん。一歳の赤ちゃんを見かけませんでしたか?」と尋ねました。

夏川弥生は黙って、ベッドの下を見ました。

夏川清美はそれを見て下を向くと、案の定、木村久美が下でおもちゃで遊んでいるのが見えました。表情が和らぎ、優しく呼びかけました。「久美ちゃん、ママのところに来て。」

「まんま、まんま...」小さな久美ちゃんはママを見るなり、大好きなおもちゃを脇に投げ捨て、夏川清美の方に這って行きました。

夏川弥生はただ、木村久美がベッドの下から這い出して夏川清美の方へ向かうのを見つめ、その目には深い憧れが溢れていました。

これは彼女の孫なのです。