31- 聞き覚えのある声

彼らが一斉に振り向くと、久しぶりに再会したのか、友人を抱きしめている男性がいた。

「さあ、みんな。エレベーターよ!」マリッサは気さくな笑顔で言った。

「警備員が止めるわ」ケイトはつぶやいたが、マリッサは歩き続け、エレベーターのドアが開くと、警備員は彼女たちを中に入れるため脇によけた。

ドアが閉まると、全員が長く重いため息をついた。

「この前私を止めようとした警備員と同じ人よ。今日はどうしたの?」ケイトが不満を漏らすと、シャン・チーが「魔法だよ!」と手を空中で動かしながら答えた。「魔法が起きたんだ!」

全員が笑い、今回はケイトも一緒に笑った。

エレベーターを降りると、ディーンは誰かと話をしていたが、和やかに会話する彼らを見つけた。

「みんな楽しそうだね!」彼は近づいてきた。

「ええ」マリッサは近くの机に鞄を置いた。「受付で何時間も止められたら、誰だって嬉しくなるわ」

誇張された言い方だったが、ディーンに注意を向けさせるには効果的だった。

「まだ止められてるの?」彼はVIPフロアの受付エリアに向かった。「心配しないで。何とかするから。みんなあの部屋に行って」

彼らは生徒のように従順に、指示された部屋に入ると、そこには既に何人もの人々が座っていた。

「あの人たちは誰?」デリンダはささやいた。全員が席を見回した。前の2列は空いており、後ろの列もまだ埋まっていなかった。

前列には「予約済」と書かれた札が置かれていた。

「後ろの席に行かなきゃいけないの?」シャン・チーは部屋を見渡しながら言った。「行こうぜ、みんな」

彼らが後ろの席に向かおうとしたとき、制服を着た警備員が予約札を外し、前列に座るよう促した。

全員が困惑した表情を交わしながら、その席に着き始めた。

「変ね」デリンダは肘掛けを握り、ベルベットの仕上げ材を手で撫でた。「私たちのために予約されていたの?VIPみたいな扱いを受けているわ」

その女性は感心した様子だった。

もしこれが何かの会議だとしたら、マリッサは知らされていなかった。

しばらくして、ドアが開き、ジョセフが友好的な笑顔で入ってきた。彼はステージの自分の位置まで真っ直ぐ歩いていった。