第77話 - 逮捕

今日はケイトがいつもより早く出勤する珍しい日だった。ラファエルがビルのカフェを任せると言ってから、彼女は上司の心を掴もうと努力し始めていた。

今日は挨拶を交わしただけで自分の席に向かった。熱いコーヒーを飲みながら、ノートパソコンの画面を見つめていた。

メニューレポートを完成させなければならなかった。彼女以外の全てのシェフが提出済みだった。ディーンは遠回しに催促していたが、彼女はしばらく先延ばしにしていた。

今日こそ終わらせようと思っていた。

しかし、集中しようと努力しても、注意力は散漫になっていった。何時間も席に座り続けて、お尻が石のように固くなった気がした。

この頭の霧のような状態では仕事にならなかった。

「やあ、ケイト。調子はどう？」シャンチーが彼女の机に立ち寄って尋ねた。

「調子？」彼女は皮肉っぽく笑い、顔も上げずに言った。「このメニューを完成させようとしているけど、見てよ。まるで人生で一度も料理したことがないみたい」

「手伝おうか？」彼が申し出たが、彼女は首を振った。

「ちょっとブレインストーミングが必要なだけよ。同僚たちが素晴らしいアイデアを出してくる中、私は何を提案すべきか悩んでいるの。だって、これまでの私のアイデアは全部ありふれすぎているか、価値がないって言われるから」

「リラックスして！」彼は彼女の近くに椅子を引き寄せた。「どんなことを考えているか話してみて。何かアイデアが浮かぶかもしれない」

「ありがとう、シャン。そうそう、マリッサはどこ？」

彼女は最も嫌いだけど我慢しなければならない顔を探して周りを見回した。とにかく、マリッサはカフェの機会を得られなかったことで明らかに嫉妬していた。

シャンチーも辺りを見回して、「どこにいるか分からないな。普段は時間通りに来るんだけど」

「そうは思わないわ」ケイトは肩をすくめ、注意深くノートパソコンの画面を見つめながら言った。「短期休暇も取ったし、丸一日休んだこともあるのに、まだそう思うの？...まあ...とにかく...彼女のことは話さないでおきましょう」

ケイトは頬の内側で舌を鳴らし、タイピングを始めた。シャンチーとメニューについて話し合い、彼は彼女がユニークなアイデアを思いつくまで追及し続けた。

「あなたって本当に天使ね」椅子から尻を持ち上げ、急いで彼の頬にキスをした。