ケイトはアパートのドアを押し開け、ベーカリーの品物が入った茶色い紙袋を腰に当てながら中に入った。
焼きたてのパンとペイストリーの香りが小さなキッチンに漂った。彼女は紙袋をキッチンカウンターに置き、ほっと息をついた。
冷蔵庫に向かい、冷たい水のボトルを取り出すと、グラスを使わずに直接口をつけた。
ボトルの半分近くを飲み干すと、それを音を立てて置き、手の甲で口を拭った。
パンを置いたまま、ペイストリーとクロワッサンの入った袋を持ってリビングルームへ向かった。
キッチンは玄関のすぐ横にあり、狭い通路を抜けるとリビングルームがあった。そのため、ソファーに寝そべり、コーヒーテーブルに足を乗せているアミールの姿は見えなかった。
彼女がリビングルームに入ってきても、彼は携帯から目を上げることもほとんどなかった。