160- 公然と彼女を賞賛する

「信じられないわ、マリッサ。あの会場はとても広くて上品だったの。手に入る情報は全部集めてきたわ」とケイトが興奮した様子で詳細を語っていた。

マリッサは口元に小さな笑みを浮かべながらケイトの話を聞いていた。シャン・チーとピーターは頷きながら同意を示していた。

しかし、デリンダだけは不機嫌そうな様子だった。

「でもあの二人の女性ときたら!」シャン・チーは目を上に向けて「シンクレア家の女性がこんなに意地の悪い人たちだとは知らなかったよ」

「その通りだ」ピーターが同意して「彼女たちは可哀想なケイトを追い回して、自分たちに決定権を譲るように迫っていたんだ」

ケイトはそれを聞いて笑い、ピーターとハイタッチを交わした。「命がけで残りの情報を手に入れたって認めてよね」

シャン・チーは人差し指で彼女を指さして「ハハ!二人があまりにも喧嘩に夢中で、私たちが逃げ出したことに気付かなかったんだ。ジェレマイアさんのおかげだね」

マリッサはそれら全てに心を痛めていた。ラファエル・シンクレアは世界的なブランドであり、あの意地の悪い女性たちは彼の評判だけでなく、エムシンの名前まで傷つけていた。

ラファエルもこの会社もそんな扱いを受ける筋合いはなかった。

彼らはラファエルのオフィスのソファに座っていた。マリッサは自分がラファエルの席に座る気にはなれなかった。

おそらく彼女がこの部屋を使っているのは、ニーナとヴァレリーに、自分にはここへの自由な出入りが許されているのに、彼女たちには入室が許可されていないことを示すためだった。

「詳細な報告書をメールで送っておいたわ、マリッサ」とケイトは嬉しそうな顔で言い、マリッサはただ頷いて彼らを見た。

「みんなはどう?シャン・チー、デリンダ、ピーター!場所は気に入った?ブッフェの場所は決めた?」

デリンダはただ小さく頷いただけだったが、彼女の一番近くに座っていたシャン・チーはマリッサの肘を掴んで「少し不公平だと思うんだ。私たちは既に最高の場所を選んでしまった。君は最後の場所になると思うけど、それはお客様からあまり見えない場所かもしれない」

マリッサは作り笑いを浮かべた。「私のことを考えてくれてありがとう、シャン。でも心配しないで。何とかするわ」