172- ホワイトパレス

ヴァレリーが不動産屋の事務所に入ると、そこにニーナが既に座っているのを見つけて驚いた。

「あら、ヴァレリー」ニーナも彼女を見つけて驚いた様子で、「どうしてここに?」と友好的に尋ねた。

「カンダートンに長期滞在する予定なの、ニーナ」彼女は肩をすくめて笑みを浮かべながら、別の席を探した。「だからここが一番の相談場所よ」

ニーナは小さく頷き、不動産屋と握手を交わしながら立ち上がった。「ありがとう、メアリー。私の希望に合う物件が見つかったら連絡してね」

そして義理の娘に向き直り、「なんという偶然でしょう。私も同じ理由でここに来たのよ、ヴァル」

車に寄りかかって待っているジーナが見える窓ガラスの外を見ながら、ヴァレリーに告げた。「エムシンに行くところなの。今日は一緒に来る?」