290- 正当な私のもの！

遺言状の読み上げから1週間が経ち、ヴァレリーは何が間違ったのか分からなかった。彼女のクレジットカードが使えなくなっていた。銀行に電話をかけようとしたが、電話にも出てくれなくなっていた。

ホテルの部屋代を支払わなければならなかった。食事も、交通費も、クラブ通いも。すべてにお金が必要だった。

今朝、朝食を取りに食堂に向かおうとした時、支配人が近づいてきて未払い金の件を思い出させた。

サングア市の銀行に行く必要があったが、ホテルの支払いを済ませないとカンダートンを出ることもできなかった。そのため、ニーナに会うことにしたのだ。

エムシンパレスに向かうと、一瞬、嫉妬の波が彼女を襲った。宮殿にはもはやエムシンの文字はなく、代わりに太字で次のように書かれていた：

マリッサ・シンクレア宮殿

まだ怒りが収まらないうちに、執事に案内されて応接室に座らされた。

ニーナを待つ間、部屋を見回すと、三つ子とニーナの小さな写真が目に入った。何かを見て笑っている様子だった。

もしヴァレリーが妊娠できていたら…

赤ちゃんができれば、ニーナを簡単にコントロールできると考えていたのに。マリッサにその機会を奪われてしまった。

彼女は全てを奪っていった。夫も、財産も、子供たちも。

ドアが開いた時、彼女はニーナに挨拶するために立ち上がらなかった。年上の女性は変わっていた。おばあちゃんになったことを知ってから、より幸せに、そしてより意地悪になっていた。

「なぜここに来たの、ヴァレリー？」ニーナは遠回しな言い方を避けて、直接的に尋ねた。

ヴァレリーもまた、ゲームや無駄話をする気分ではなかった。「助けが必要なの。銀行がカードを止めてしまったわ」

ニーナは眉をひそめ、口を尖らせた。「それで、私に何ができるというの？」と肩をすくめて言い、ヴァレリーは彼女の顔を引っ掻きたい衝動に駆られた。

「ラファエルの本当の妻は誰なのか、真実を話すことから始めたらどう？」と彼女は何気なく提案した。

ニーナは数分間彼女の顔を見つめ、それから咳払いをした。「仮に私が、あなたが本当の妻だと世界中に言ったとして、それでどうなるの？その先は、ヴァル？」

ヴァレリーは黙って指をもじもじさせていた。