325- 義理の兄になるかもしれない人

ラファエルは自分の目を疑った。でも違う。彼女はそこにいた。

間違いなく彼女だった。

眉をひそめながら、彼は彼女がその男と立っている通路へ向かった。彼が近づいてくるのを見て、彼女はその少年にさらに寄り添い、ラファエルの血が煮えたぎった。

ラファエルの視線は、二人が強く握り合う手に落ちた。まるで悪戯を見つかったかのように、二人の耳は赤くなっていた。

「ここで何をしているんだ?」少女はその奇妙な質問に驚いたようだったが、視線を下に向けたままだった。

「サッカーをしに来たんだ」まるで命がけで彼女を抱きしめているその男が、彼のばかげた質問に大胆に答えた。

ラファエルは彼の顔を平手打ちしたくなった。彼は男に彼女から手を離すよう命じたかった。

もし普通のカップルなら、何かしているのかなと笑って済ませただろう。しかし、これは普通のカップルではなかった。

二人とも互いを離そうとはしなかった。

ラファエルがその少年に黙れと言い、生意気な口を閉じさせる前に、ジェイソンが彼の後ろにやってきた。

「おい、探してたぞ。ここで何してるんだ?」彼は若いカップルに奇妙な視線を送り、ラファエルの背中を叩いた。「行こう。ジョセフが待ってる」

ラファエルは現実に引き戻され、二人に困惑した表情を向けてから、かかとを返して立ち去った。

***

ラファエルが去った瞬間、フィンはほっと息をつき、マリッサの方を向いた。「あいつが例の男か?まるでチンギス・ハーンの子孫みたいだな!」

「へへ…」マリッサはくすくす笑い始めた。「あなたの顔を見てよ。私が彼と結婚したらどうするの?」

フィンは目を見開いて彼女を見た。「結婚?それならヒトラーと結婚した方がマシだ!」彼は彼女を押しのけて通り過ぎた。

彼女は彼の後を追いかけた。「でもヒトラーは死んでるわよ」

「あいつと結婚したら、お前も死ぬことになるぞ」彼は言い返した。

「そんなことないわ!」

フィンは鼻にしわを寄せて先に進んだ。一方マリッサは、彼女の夢の王子様が現れた時のフィンの手の握り方を思い出して、まだ笑っていた。

ヴァルの彼が自分に近づいてきた理由が、一つの理由を除いて理解できなかった。もしかしたら…ほんのわずかな可能性だけど…彼も自分に興味があるのかもしれない。