329- フラッシュバック終了

「私は…私はあなたを止めようとしたの。私たち二人とも酔っていたから、あなたはここに来たがった。あなたの友達もあなたを助けられなかった。私は…私は…」彼女はしゃっくりを抑えようとしたが、彼にはそれが聞こえた。「あの無力な状態で、一人きりのあなたを置いていくことができなかったの。」

ラファエルは周りを見回し、水差しとグラスを見つけた。彼は水を注ぎ、彼女にグラスを差し出したが、彼女は彼の手首を押しのけて拒否した。「要らないわ」と彼女は啜り泣きながら言った。

「聞いてくれ、ヴァル。申し訳ない。本当に！私は…」彼は唇を噛み、もう何を言えばいいのか分からなかった。

「謝罪だけじゃ足りないわ」彼女は噛みつくように言い、また泣き始めた。「出て行って！」

ラファエルは驚いた。

今まで、どんな女性も彼にこんな風に話しかけたことはなかった。彼と一夜を過ごした後は、いつも皆喜んでいた。

彼女たちは翌朝にダイヤの指輪をもらえることを期待して彼と寝ていたが、現金を渡されて完全に失望するのが常だった。

しかし、この子は？

彼女は現金を求めていなかった。彼女は自分の名誉と純潔を、たった一人の人のために守っていた中流階級の少女だった。

ラファエルはそれを奪った。結婚前にそれをするかどうかを決める権利を、彼は彼女から奪い取ったのだ。

「ヴァレリー！」

「ラファエル」ヴァレリーは顔を拭い、彼を見た。「あなたはここに来るべきじゃなかった。甘い言葉なんて必要ないわ。私は他の人とは違う。お願いだから、出て行って。二度と連絡しないで。」

彼が黙っていると、彼女は腫れた顔に小さな笑みを浮かべた。「大丈夫よ。信じて。これは一時的なことだから。私は立ち直ったら、前に進むわ。約束するわ。あなたは金持ちで、ハンサムで…何もかも持ってる。あなたは簡単に前に進めるはず。私もそうする。だから出て行って、ラファエル。もう二度と会わないことにしましょう。」

ラファエルはより一層罪悪感を感じた。

彼女は全ての責任を自分で背負って、この状況から彼を解放しようとしていた。彼は彼女の妹を通じて彼女と出会い、そして自分の欲望のために彼女の体を利用した。

なんて典型的なクズだったんだ！

「ヴァレリー！」