352- 入れて

ニーナはガブリエルを6時間待ち続けたが、彼は現れなかった。電話もメールも一切なかった。

涙をこらえようと必死だったが、喉の奥の大きな塊がそれを困難にしていた。

彼女はバッグを持って立ち上がり、最後にもう一度ガブリエルに電話をかけた。電話は圏外という同じメッセージが流れるだけだった。

バッグを胸に抱きしめながら、周りを見回した。行き場がなかった。生活していくためのお金もなかった。

彼女の宝石や服はガブリエルの家にあったが、今はそこに行きたくなかった。彼の言い訳や、本当は謝っておらず、ただ彼女の体が欲しいだけの「ごめんなさい」を聞きたくなかった。

彼は本当に彼女を愛していたのだろうか、それとも単なる欲望だったのだろうか?

どこに行けばいいのだろう?

でも…

ちょっと待って…

行ける場所があった。

自分の家!

シェーン・シンクレアの家!

彼女は急いでバッグを開け、1週間そこに入れっぱなしだった書類を取り出した。まだシェーンのところに行ける。書類にはまだ彼女のサインがない。まだ彼と結婚している身分だった。

心臓が激しく鼓動する中、急いで書類をバッグに戻し、立ち上がって出発した。家に帰り、シェーンに受け入れてもらうようお願いしなければならない。

お願い?

いや、懇願しなければならない!

***

「楽しんでいますか?食事をされずに帰らないでください」シェーンは、すべての客が楽しんでいる広い会場を歩き回っていた。

優れたホストとして、彼は魅力的な笑顔で全ての客をもてなしていた。サングアのすべてのビジネスマンが狙っていた契約を手に入れた大きな勝利だった。

今では誰もが、彼がどれほど優れたビジネスマンであるかを認めていた。きちんとした制服を着たウェイターたちが、シャンパンとオードブルの載ったトレイのバランスを取りながら、群衆の中を素早く動き回っていた。

会場の一角では、ライブバンドがジャズの曲を演奏しており、何人かの客が即席のダンスフロアでリズムに合わせて体を揺らしていた。

シェーンは競争相手のグループの近くで立ち止まると、彼らは即座にグラスを彼の方向に掲げた。

「乾杯、シェーン。なんという快挙だ!」一人が言い、他の人とグラスを合わせた。

「ありがとう」シェーンは笑顔を広げながら答えた。「君たちの鼻先で契約を掻っ攫うのは楽しかったよ」