400- マイラブ

「トイレに行ってきます」会場に着くと、ヴァレリーのデートの相手はそう告げてトイレの方へ向かった。

ヴァレリーは頷き、先に進んでゲストたちと交流を始めた。

姪たちを探していると、彼女たちが隅で花婿と話しているのが見つかった。ジョセフはアリエルの首元のリボンを直すために膝をついていた。ソフィーは夫と一緒に立ちながら、何かを笑っていた。

彼女は輝いていた。

ヴァレリーも本物の結婚式を挙げたいと願ったが、今はそれを気にしている場合ではなかった。マリッサとラファエルの姿は見当たらず、ヴァレリーはアリエルと関係を築く必要があった。

ソフィーとジョセフが他のゲストと忙しくなった時、チャンスが訪れた。

「やあ!」彼女はアリエルに握手を求めて手を差し出したが、アリエルは彼女の顔と手をじっと見つめたまま、何の反応も示さなかった。ヴァレリーは笑みを抑えなければならなかった。アリエルは見た目が彼女に似ているだけでなく、叔母から気の強さも受け継いでいた。

彼女は気を悪くすることなく手を引っ込めた。近くには家庭教師が立っており、鷹のように少女たちを見守っていた。

家庭教師以上に、ヴァレリーが恐れていたのは小さなアレクサンダーだった。彼は両親以上に妹たちを守ろうとしていたのだ。

彼女は少女たちの近くにしゃがみ込み、アビゲイルの視線を感じた。アビゲイルは赤ちゃんのような無邪気さでヴァレリーを見つめていた。

「アビー、アレックスを探しに行こう」アリエルはアビゲイルの手を取ったが、アビーは一歩も動かず、ヴァレリーを見つめていた。

「あなたが私たちの叔母さん?」

ヴァレリーは微笑んで頷いた。「そうよ」

アビゲイルは笑顔を見せようとしたが、ヴァレリーの目はアリエルに釘付けだった。

「よかったら、いつか一緒にホットチョコレートを飲みに行ったり、アイスクリームを食べに行ったりしない?」彼女は提案したが、アリエルは興味を示さなかった。「もちろん、両親の許可をもらってからだけど」彼女は肩をすくめて付け加えた。

アリエルは返事をせず、妹をほとんど引きずるように連れて行った。「行くわよ、アビー」

彼女はアビーの頑固さにイライラし始めていた。

***

マリッサが叫び声を上げる前に、ラファエルは素早く彼女の赤く塗られた唇に手のひらを押し当てた。