第22章 新入生、お前にルールを教えてやる

女子は嫌味な態度を見せた。

「あの子が可愛いからでしょ、新しい学校一の美人なんだから!」

バスケットボールを抱えて外に出ようとしていた男子が、にやにやしながら言った。

女子は彼を睨みつけた。「下品!柴田裕香は少なくとも才色兼備で、学年でも上位3位なのよ!

あの子なんて何なの?顔以外は柴田裕香に及ばないじゃない??」

「いやいや、あるよ」

あの長い脚とくびれた腰は、絶対領域とストライクゾーンの教科書だぜ!!

「うるさい!邪魔しないで!」女子は怒って言った。

男子が気にせず去った後、森谷美貴も表情を曇らせた。

クラス全員が知っていた。彼女が土屋遥を好きなことも、土屋遥が柴田裕香を好きなことも。

でも柴田裕香は3年生の内田和弘とお似合いのカップルだから、彼女は全く心配していなかった。

しかし今は。

三流高校からの転校生が、彼女から人を奪おうとしている。

森谷美貴は冷笑した。「分を知るということを教えてあげないとね」

それを聞いて、他の女子たちも思わず他人の不幸を喜ぶような表情を浮かべた。

「森谷姉さんが強引に夫を守るってこと?」女子は意図的に良い言葉を選んで言った。

森谷美貴は口角を上げ、傲慢な表情を浮かべた。

「余計なことを言わないで。私は裕香と仲がいいの。裕香がしたくないことを、私が代わりにやってあげるだけよ」

……

午後の自習が始まる直前になってようやく、灰原優歌は教室に戻ってきた。

「ねぇ、新入り。こっちに来なさい」

教壇に座っていた女子が、威張った様子で呼びかけた。

灰原優歌はゆっくりと彼女を一瞥し、薔薇色の唇が軽く上がり、そのまま立ち去ろうとした。

灰原優歌が自分を軽蔑するような態度を見せたことで、森谷美貴の目が急に険しくなった。

彼女は拳を握りしめ、何度も冷笑した。

この灰原優歌は本当に傲慢だ。

永徳には彼女を懲らしめられる人がいないと思っているのか?!

しばらくして。

灰原優歌が自分の席に戻る前に、席が黒いペンキで汚され、教科書も完全に使い物にならなくなっているのを目にした。

周りの人々は静かで、この光景を無視していた。

数人の男子生徒だけが、黙り込んでいる灰原優歌を見て、同情の念を抱いた。

この美しい花を台無しにするなんて、あまりにも酷すぎる。

森谷美貴は教壇から灰原優歌の動かない背中を見て、すっきりした気分になった。

彼女は軽やかに飛び降り、満足げに笑いながら言った。

「新入り、あなたにルールを教えてあげないとね」

突然。

灰原優歌が口を開いた。「誰がやったの?」

その言葉を聞いて、全員が驚いた。灰原優歌がそんなことを聞くとは思っていなかった。

「誰がやったと思う?」

森谷美貴は腕を組んで、灰原優歌の前に傲慢に立ち、明るく笑った。

副社長の娘である彼女が、柴田家のろくでなし親戚なんかを恐れるはずがない。

「あなた?」

灰原優歌は振り向き、唇の端に意味深な笑みを浮かべた。

ただし、瞳の奥には解けない寒気が漂っていた。

森谷美貴は灰原優歌と目が合い、なぜか背筋が凍るような感覚を覚えた。

しかしすぐに、また嘲笑うように笑った。

「どう思う?灰原優歌、誰かに言われたことある?あなた、自分を大きく見せすぎよ」

その言葉が終わるか終わらないかのうちに、入り口に人影が現れた。

土屋遥が戻ってきたのだ。

彼は雰囲気の悪い二人を見渡し、自分の席に着いてから、やっと何が起きたのか理解した。

土屋遥は眉をひそめ、なぜか心が痛んだ。

「誰がやった?」土屋遥が尋ねた。

その質問に、教室中の人々は更に驚いた!

土屋遥がいつからこんなことに口を出すようになったんだ?

この時、特に森谷美貴は瞳孔が縮み、明らかに土屋遥が介入するとは思っていなかった。