第23章 ごめんね同級生、今日は気が立ってるから

森谷美貴は顔色が悪く、拳を握りしめ、爪が肉に食い込んでいた。

彼女が自ら認めるべきか迷っているとき、外から声が聞こえてきた。

「どうしたんだ、この学級は？早く席に着きなさい！」

生活指導主任の叱責の声が、まず皆の耳に届いた。

それを聞いて。

森谷美貴はほっと胸をなで下ろした。助かったと分かったからだ。

「土屋遥、また授業をサボったそうだな？！」

生活指導主任は毎日このように尋ねていた。

「いいえ、ご飯を食べに行っただけで、すぐ戻ってきましたよ」土屋遥は怠そうに後頭部を掻いた。

そのご飯で三時限も潰したのだ。

「次はないようにしなさい！」

生活指導主任のこの言葉は、クラスの他の生徒たちは暗記できるほどだった。

しかし土屋遥は毎回次があり、彼らも特に何も言わなかった。

結局のところ、土屋家が金と権力を持っているからだ。

「はい」

土屋遥は適当に返事をした。

それを見て、生活指導主任は土屋遥から目を離し、灰原優歌の方を見た。

彼は眉をひそめ、明らかに不機嫌な口調で「君が転校生か？」と言った。

この生徒は教職員の間で、とても有名だった。ほとんどの教師が、普通高校でさえついていけない生徒を永徳に残すことに反対していた。

しかし校長が頑として態度を変えず、彼女を無理やり入学させたのだ。

「永徳に入学したからには、前の学校の悪い習慣を持ち込まないように。そうでなければ、どこに行っても無駄だぞ！」

生活指導主任は言いようのない嫌悪感を込めて言った。「早く席に戻りなさい」

灰原優歌は怒るどころか、笑みを浮かべた。

彼女の目は非常に美しく、華やかな笑みを浮かべながら「先生、少しお座りになりませんか？」と言った。

その言葉が落ちた。

生活指導主任が反応する間もなく、土屋遥の隣の席が散々な状態になっているのを目にした。

めちゃくちゃだった。

一目で誰かのいたずらだと分かった。

「誰が新入生をこんなに虐めたんだ？」

生活指導主任は厳しく問いただしたが、実際にはそれほど重要視していなかった。

この転校生が退学してくれれば一番いいと思っていた。

「先生、きっと事故だと思います」

森谷美貴と仲の良い女子生徒の一人が笑いながら言った。

それを聞いて、生活指導主任は思わず森谷美貴を見つめ、突然この件の犯人が誰かわかったような気がした。

生徒だけでなく、教師たちも、生徒間の誰が誰を好きかということをよく知っていた。

これは森谷美貴らしいやり方だった。

「この件については調査して、謝罪させます」

生活指導主任は考えた末、そう言った。

彼の甥が森谷美貴の父親の下で働いているので、この子を本当に怒らせるわけにはいかなかった。

生活指導主任は、この件がこれで終わると思っていた。

しかし予想外のことが起きた。

灰原優歌が突然笑い声を上げた。

彼女はゆっくりと「そういうことですか」と言った。

その瞬間。

誰も反応できないうちに、優歌が反対側に歩いて行くのが見えた。

皆が反応する間もなく。

少女が長い脚を上げ、全員の目の前で森谷美貴の机を蹴り倒したのだ！

その音は頭皮がぞわぞわするほどだった！

机の上の物が粉々に散らばった。

森谷美貴の顔色が一変した！

そしてその時。

灰原優歌は突然振り返り、美しい目尻を上げ、さらに何気なく唇を舐めた。

その眼差しは野性的で大胆不敵で、直接森谷美貴の顔に向けられた。

「ごめんね、今日は気が立ってて」

その瞬間。

クラスメイトたちは呆然とした。

そして生活指導主任の顔が一気に青ざめた！

この転校生は何なんだ！？

彼の目の前で傲慢極まりない態度を取り、謝罪すれば終わりだと？？

わざと実力行使で、彼の謝罪による解決方法に反抗しているのか？！