第36章 この学校に、お前より生意気な生徒がいるのか?

「ありがとうございます、おばさん」

灰原優歌は受け取って、うつむいて飲んでいた。

「お嬢様、私のことは苗木おばさんと呼んでください」

苗木おばさんは、この少女を一目見て気に入った。

とても聡明な顔立ちで、奥様が選んだ他の娘たちよりずっと愛らしかった。

「苗木おばさん、私は灰原優歌です。優歌と呼んでください」

苗木おばさんはすぐに首を振った。「礼儀は守らなければいけません。やはり優歌さんとお呼びします」

それを聞いて、灰原優歌もそれ以上は強くは言わなかった。

苗木おばさんも、渡様が女の子を家に連れて帰るとは思ってもみなかった。密かに、早く奥様に報告しなければと考えた。

……

翌日。

永徳高校、2年7組。

教壇の先生は怒って言った。「土屋遥、お前はますます規律を守らなくなってきているな?制服も着ていないし、宿題も持ってきていないし?」

土屋遥は気にする様子もなく、むしろ廊下を見つめながら、なぜか今日あの人がまだ来ていないのかと考えていた。

「話を聞いているのか?!この学校で、お前以上に傲慢な生徒がいるとでも?」

その言葉が落ちた。

土屋遥は目に不機嫌な色を浮かべ、振り向いて何か言おうとした。

しかし、その時ドアの方から声が聞こえた。

「失礼します」

一瞬にして、全員の視線が廊下に集中した。

黒髪に赤い唇、雪のように白い肌の少女が制服のスカートを着て、だらしなく立っているのが見えた。

美しい瞳は人の心を揺さぶる。

しかし人民教師の注目点は、いつも鋭い。

「転校生か?」

「はい」

先生は深いため息をついた。「カバンはどこだ?」

灰原優歌は少し考えてから、正直に答えた。

「忘れてきました」

みんな:「……」

先程の生徒は宿題を忘れ、制服を着ていないだけだった。この子は学校にカバンすら持ってきていない。

どちらも手に負えない。

灰原優歌のカバンは柴田家にあり、確かに朝早くに取りに行くことはできなかったが、そんな長い説明をする気も起きなかった。

「いいぞ、7組は名実ともに落ちこぼれクラスになったな!」

先生は怒り心頭だった。

「先生、一人の転校生が私たちのクラスを代表できるんですか?」