しかし。
灰原優歌は入ってすぐ、後悔した。
目を上げると、内田和弘がコンピューター関連の本を探しているのが見えた。
内田和弘は端正な顔立ちで、多くの女子学生の注目を集めていた。灰原優歌は彼を見るなり立ち去ろうとしたが、彼に気づかれてしまった。
彼の目が冷たくなり、眉目に傲慢さを漂わせながら、冷ややかに嘲った。
「灰原優歌、お前もようやく分かったと思ったのに。まさか、ここまで追いかけてくるとはな」
このストーカー技術は、以前よりも彼の目を見張らせた。
灰原優歌は目尻を動かし、向かいの警察署に目をやると、今湧き上がった考えを打ち消した。
そして。
灰原優歌が立ち去ろうとした時。
内田和弘は前に出て灰原優歌を遮り、嘲笑うように彼女を見た。
「わざと引いて、偶然を装うのか?灰原優歌、お前が本屋に来るような人間じゃないことを忘れたのか」