「よし!」
佐藤知行は背筋を伸ばし、近くで待っている久保時渡の方へ歩いていった。
「あの……」
近づくと、佐藤知行は何故か萎縮してしまった。
久保時渡は物音を聞いて、軽く目を向けた。
その瞬間、佐藤知行は久保時渡の顔をはっきりと見て、思わず骨科CPに目覚めそうになった。
灰原さんのお兄さんがこんなに完璧なの?!
なんて神がかった容姿なんだ!!?
「何か用?」
久保時渡はスマートフォンをポケットに戻しながら、問い返した。
「僕、僕は灰原優歌のクラスメートです。彼女は今いないって言ってました!」
佐藤知行は頭が固まり、思わず口走ってしまった。
その言葉に久保時渡の視線が深くなり、再び目を上げて彼を見た。
ただし、その無関心そうな眼差しには、威圧的な攻撃性が加わっていた。
「そうか?」