第27章 全員揃ってないのに、何を食べるの?

土屋遥は目を光らせた。

彼女は柴田家に居候しているはずなのに?柴田家の権力をもってすれば、アルバイトなんてさせるはずがない。

土屋遥は思わず同情の念を抱いた。

「勉強の邪魔になるぞ」

しかし、その言葉が落ちると、二人は目を合わせ、空気が一瞬凍りついた。

「別に勉強することなんてないわ」彼女は物憂げに笑い、彼の横を通り過ぎて去っていった。

この不勉強な様子に、土屋遥は眉をピクリと動かした。

少なくとも柴田家の遠い親戚なのに、どうして柴田裕香とは性格が正反対なのだろう?

柴田家のお嬢様である柴田裕香は、ほとんど何をやっても一流で、成績も学年でトップ3に入り続けている。

自分に対する要求も極めて高い。

……

夜が深まっていく。

柴田家。

灰原優歌がまだホールに入る前に、中からピアノの音が聞こえてきた。