第64章 裕香の面子のために

柴田おじい様は無表情で、その言葉は柴田の母の顔を赤くしたり青ざめさせたりした。

柴田の父は慌てて場を取り繕った。「お父さんの言う通りです。まずは食事をしましょう、みんなで食べましょう。」

その言葉を聞いて。

皆は黙々と食事を始め、柴田おじい様だけが時々灰原優歌に気遣いの言葉をかけていた。

隣の柴田夫婦は表情が良くなかった。柴田裕香に至っては言うまでもない。

この食事が終わるまで。

柴田の父は恭しく柴田おじい様に言った。「お父さん、この間、私は多くの時間をかけて、方山賢一先生と連絡を取ることができました。

よろしければ、しばらくしたら、私がお父さんと一緒に明城まで行って、より良い治療法がないか見てみませんか?」

「方山賢一?方山先生はとても頼みにくい方だと聞いていましたが?」