柴田裕也は柴田裕香が手を伸ばして彼の紙袋を取ろうとするのを見て、すぐに彼女から離れた。
触れなくて良かった。
柴田裕也はほっと息をつき、冷淡な目で彼女を見回して、「お前のじゃない」と言った。
その瞬間。
柴田裕香の笑顔は凍りついた。この間溜まった悔しさと怒りが、さらに心に込み上げてきた。
彼女は甘えた表情で、少し強い口調で言った。「お兄ちゃん、まさか灰原優歌にあげるつもり?もしそうなら、一生許さないわよ!」
柴田裕香は、柴田裕也がこう言われたら必ず怖がると確信していた。
しかし柴田裕也はそれを聞いて、元々冷淡だった目に、徐々に嘲笑の色が浮かび、振り向いて彼女を見た。
「柴田裕香、お前の実の両親は、二年前に見つかったんだ。いつまでも柴田家にいるのは、良くないんじゃないか?」