第150章 俺様の肉一つ減らないさ

若者は病院の病室の機器を通じて、柴田おじい様の治療と監視を妨害しようとしていた。

しかし、侵入すればするほど、若者は不思議な違和感を覚えていった。

どうしたことだ?

確かに、別のシステムから侵入したが、こんなにスムーズにいくはずがない。

おかしい!

この状況は順調すぎる!!

すると、若者は午後に灰原優歌のパソコンに侵入した時のことを思い出し、背筋が凍る思いをした。

「まさか!気のせいだ!十数年も顧みられなかった娘に、そんな能力があるはずがない。」

若者は自分に言い聞かせた。

自分が不注意だったから、誰かにウイルスを仕掛けられる隙を与えてしまったのだ。

柴田家で笑い者にされているあの娘はまだ若いじゃないか?高校も卒業してないかもしれないのに、彼女にそんなことができるはずがない。

若者はそう考えて安心したが、自分の険しい表情と発した言葉が、すでに灰原優歌の画面に映し出されていることに気付かなかった。

灰原優歌は画面録画を開始し、ヘッドセットを調整すると、彼が柴田浪を呪い、柴田家の全員を罵り続けているのが聞こえてきた。

「くだらないファンの集まりめ、俺に何ができると思ってやがる。」

若者は嘲笑い続け、軽蔑的な口調で言った。「このじじいが死んだら、柴田浪がeスポーツ界でどんな顔をして現れるか見物だな。」

柴田浪以外にも、会話から感じ取れるのは、彼が最も嫌悪している人物が灰原優歌だということだった。

「灰原優歌?」

若者はネットで灰原優歌の情報を調べ、また笑い出して嘲笑った。「大したことないと思ったら、ただの高校生じゃないか。

柴田浪の妹も、ろくでもないやつだ。柴田浪を片付けたら、次はお前の番だ。」

灰原優歌も初めて、独り言でこんなに多くを語る人間を聞いた。

3分も経たないうちに、全ての証拠が揃った。何の困難もなく。

灰原優歌は物憂げに笑い、録画のバックアップを取って捜査所に送信した。

そして。

彼女はヘッドセットを調整し、音声通話を開始した。声は怠惰で傲慢だった。

「十分に罵った?じゃあ、今度は私の番よ。清算の時間だわ。」

突然ヘッドセットから聞こえてきた見知らぬ女性の声に、若者は体が強張った。

我に返ると、すぐに問い返した。「お前は誰だ?!!」

「そんなことを聞いて何になるの。」