おじい様は「……」
その言葉は、完全に彼を子供扱いしていた。
「お粥を飲みたくないの?」
その言葉を聞いて、久保時渡の薄紅色の唇も緩んだ。
この時、沈黙に陥ったおじい様は、孫娘のせいで威厳が地に落ちたと感じていた。
「うん。兄さん、私が先に宥めておくわ。帰ってからまた話しましょう」
「帰る時は、兄さんに電話してね」
久保時渡は残りの書類に目を通し、大体処理が終わったら、ちょうど彼女を迎えに行けると思った。
「はい」
電話を切った後、灰原優歌はリンゴを一口かじり、またおじい様の怨めしそうな視線を感じた。
「優歌、久保さんのことが好きなのかい?」
「うん、大好き」
灰原優歌は考えることなく答え、そのままリンゴを噛みながら、ノートパソコンを開いた。
すると、おじい様は突然どこからか力が湧いてきたかのように起き上がり、彼女のパソコンを閉じた。