「そうですね、柴田裕香は天の寵児だから、親が呼び出されるなんてありえないでしょう。それは灰原優歌だけの待遇ですね」
「そうよね、誰だってもっと賢くて優秀な妹の方が好きでしょう?」
……
これらの言葉を聞いて、柴田裕香の目の奥に暗い色が走り、最近の柴田裕也の態度を思い出した。
「柴田さん、私、先に見てきますね」
女子生徒は柴田裕香の表情に気付かず、そう言った。
「ええ、どうぞ」
柴田裕香は微笑んだが、女子生徒が去るとすぐに、その笑顔は消え去った。
「灰原優歌、あなたって本当にすごいわね。私をここまで追い詰めるなんて」
柴田裕香は無表情で階段を見つめ、突然笑い出した。その美しい顔が歪むほどに。
しばらくして。
みんなが我慢できずに柴田裕也の写真を撮ろうとしたとき、突然遠くから悲鳴が聞こえた。