第167章 優歌の耳に入ったら、彼は汚れてしまう

しばらくして。

柴田裕香は目を赤くして、泣き声で言った。

「お兄ちゃん、裕香が痛いの……」

そう言って。

柴田裕香は前に進み、柴田裕也の腰に抱きつこうとした。

この光景を見た他の人たちも、心を動かされた。

きっと、柴田裕也が柴田裕香にどれほど怒っていても、女神のような妹がこんな状態なら、怒りも収まるはずだと。

しかし次の瞬間。

全員を凍りつかせる光景が現れた。

柴田裕也は柴田裕香が自分に飛びついてくるのを見ると、まるで病原菌が近づいてきたかのように、体全体が自動的に防御態勢に入った。

そして、柴田裕香が柴田裕也に抱きつく前に、柴田裕也は横に身をかわし、柴田裕香との接触を避けた。

そのため柴田裕香は、そのまま地面に倒れ込んでしまった!

見るに耐えないほど惨めで、みすぼらしい姿に……