しかし今では、誰が見ても噂は嘘だと感じるだろう。
この柴田裕香は……寵愛されている人には全く見えない。
そしてその時。
柴田裕也は墨のような眉目に冷ややかさを漂わせ、いらだった口調で言った。「うちの可愛い子と付き合っているかどうかに関係なく、今すぐそいつを出てこさせろ。」
ふん。
カエルのくせに、うちの白鳥のお姫様に触れようなんて。
本当に死にたいらしい。
「それが……今のところ、誰が灰原優歌と不純異性交遊しているのか分かりません。」生活指導主任は顔色を変えた。
それを聞いて、柴田裕也は生活指導主任を振り向き、より冷たい視線を向けながら、皮肉げに言った。「つまり、この手紙だけで、妹が不純異性交遊していると決めつけたということですか?」
「そういうわけではありません。その前から、7組の生徒が不純異性交遊をしているという報告がありました。私が巡回している時に、その手紙が灰原優歌のノートから落ちるのを目撃したんです。」
生活指導主任は一気に萎縮した。
結局のところ、これは柴田家の次男で、芸能界で人気の実力派俳優なのだ。
「主任、まだ状況は明確ではありませんし、この手紙が灰原優歌のものだとは言えません。」担任は我慢できずに言った。
「上田先生、あなたの言う意味は、不純異性交遊をしているのは私だということですか!?」
橋口美月は突然感情的になり、両手で唇を覆い、肩を小刻みに震わせた。まるで大きな不当な扱いを受けたかのように。
「私は……」
担任は言葉を失った。
「上田先生、教師として公平に対応する必要がありますよ。」
生活指導主任が突然厳しい声で言った。
彼から見れば、灰原優歌は勉強もせず、問題ばかり起こす。しかし橋口美月は違う。毎年奨学金を獲得し、7組の副級長で、典型的な優等生だ。
この二人のうち、誰かが不純異性交遊をしているとすれば、それは灰原優歌しかいない。
担任は唇を動かしたが、最後には「主任の仰る通りです……」としか言えなかった。
「灰原優歌、認めたくないなら、私たちが信じられるように説明してみなさい。」生活指導主任は厳しい口調で言った。
「認めないのと、説明が必要かどうかは、あまり関係ないと思います。」彼女は怠惰そうに軽く笑った。
「お前!」