金井雅守は我に返ると、すぐに笑顔を取り戻した。
明らかに、今回も準備万端で来ていたのだ。
「灰原さんは国内の研究所がお気に召さないのですか?」金井雅守はにこやかに尋ねた。
「契約精神です。」
灰原優歌は唇の端を上げ、彼の方を向いて、艶やかな眉目で言った。「実は以前、A.M.計算研究所も考えていましたが、貴所の条件に私は合致していませんでした。」
その言葉を聞いて。
金井雅守は一瞬固まり、すぐにA.M.の採用要件を思い出した。
第一条は、学士以上の学歴を持つ者のみを採用すること……
しかし誰も、高校生がこれほどの実力を持っているとは思いもよらなかった!!
「灰原さん、これは……」
金井雅守は一時的に言葉に詰まった。
灰原優歌は思わず笑って言った。「普通のことですよ。国内の計算研究所はみなそうですから。」
金井雅守はその言葉を聞いて、ほっと胸を撫で下ろした。よかった、灰原優歌がこのことで怒っていないようだ。
実際、灰原優歌も理解していた。前世では灰原の母がいなければ、12歳で研究所に名を連ねることはできなかっただろう。
「おかしいですね!」
金井雅守は突然気づいたように言った。「マーカスたちの研究所も学士以上しか採用しないはずなのに、なぜ彼らの所には侵入できて、私たちの所には侵入しなかったんですか??」
「彼らの給料が高いからです。」灰原優歌は率直に答えた。
金井雅守:「……」
確かにそうだ。
マーカス研究所の全職員は、入社2年以上で、ローシェルに海辺の別荘を申請することができる。
しかし、前回マーカスがグループで自慢していたところによると、灰原優歌はすでに実習生の指導を始めているという。そう考えると、灰原優歌はすでに申請資格があるということになる……
いけない!
絶対に灰原優歌に移民の考えを持たせてはいけない!!
「しかし灰原さんは国内で学業もありますし、この数年は海外に行く予定はないでしょう?」
金井雅守は笑いながら言った。「そうであれば、マーカスの研究所と契約するのは実際には不便ではないでしょうか。」
この言葉に、灰原優歌は眉を上げた。「金井様のおっしゃりたいことは?」
「私たちA.M.の外部協力者になってはいかがでしょう。」金井雅守はにこやかに言った。