「主任、ラブレターを受け取っただけで処分されるんですか?」
土屋遥は少年特有の魅力的な声で、長く低く笑った。「じゃあ、僕は一生卒業できないんじゃないですか?」
それを聞いて、クラスメートたちは大声で笑うことはできなかったが、生活指導主任の顔は青くなったり赤くなったりした。
彼は灰原優歌と土屋遥をじっと見つめた。
「二人とも私の事務室に来なさい!」
そう言って、生活指導主任は7組を出て行った。
普段なら、土屋遥は行かなかっただろう。
しかし今は、灰原優歌が出て行くのを見て、仕方なく後を追った。
「灰原優歌」
廊下で、土屋遥が後ろから呼んだ。
「何?」灰原優歌が尋ねた。
「柴田裕香、彼女は君に何かしたの?」土屋遥が聞いた。
灰原優歌はそれを聞いて、振り返り、軽く笑った。「私に聞くの?」
「君が言うなら、信じるよ」
土屋遥は静かな目で彼女を見つめた。
以前は、これは女子間のささいな問題だと思っていたが、柴田の母が学校に来て大騒ぎをしてから、自分が間違っていたことに気づいた。
灰原優歌は意外そうに、土屋遥を見た。「あなたは柴田裕香のことが好きじゃないの?」
土屋遥は眉をひそめた。「好感を持っているだけだよ。君は僕の隣の席だから、君のことの方がよく分かる。彼女が...」
「土屋さん、柴田裕香が前回包帯を巻いて学校に来たの覚えてる?」
灰原優歌は眉を上げ、傲慢で遊び心のある表情で、「私がやったの」
言い終わると。
彼女は土屋遥の反応を待たずに、事務室へ向かった。
灰原優歌はいつも気ままな性格で、人に多くを説明するのが嫌いだった。原作では、土屋遥は確かに柴田裕香に心を動かされていたので、灰原優歌も彼に何かを信じさせようとは思わなかった。
...
事務室。
灰原優歌が到着すると、生活指導主任が柴田の母に電話をかけているのが聞こえた。
しかし生活指導主任は、灰原優歌の名前を出した途端、柴田の母が何も言わずに電話を切ってしまうとは思わなかった。
この時、生活指導主任の顔色が変わった。ちょうどその時、灰原優歌の担任が慌てて駆けつけてきた。
「主任、灰原さんは今日やっと授業に出たばかりですから、私が先に...」
担任の言葉は、生活指導主任に厳しく遮られた。「あなたが甘やかすから、彼女はこんなに傲慢になったんだ!