「主任、ラブレターを受け取っただけで処分されるんですか?」
土屋遥は少年特有の魅力的な声で、長く低く笑った。「じゃあ、僕は一生卒業できないんじゃないですか?」
それを聞いて、クラスメートたちは大声で笑うことはできなかったが、生活指導主任の顔は青くなったり赤くなったりした。
彼は灰原優歌と土屋遥をじっと見つめた。
「二人とも私の事務室に来なさい!」
そう言って、生活指導主任は7組を出て行った。
普段なら、土屋遥は行かなかっただろう。
しかし今は、灰原優歌が出て行くのを見て、仕方なく後を追った。
「灰原優歌」
廊下で、土屋遥が後ろから呼んだ。
「何?」灰原優歌が尋ねた。
「柴田裕香、彼女は君に何かしたの?」土屋遥が聞いた。
灰原優歌はそれを聞いて、振り返り、軽く笑った。「私に聞くの?」