一瞬のうちに。
生活指導の先生は思わず口を閉ざし、背中の冷たい感覚が長く残った。
一人の生徒が、どうしてこんな恐ろしい眼差しを持っているのか?
やはり、以前から真面目な生徒ではなかったのだ!
「この手紙は、私の席から見つかったんですか?」
灰原優歌は佐藤知行の方を見た。
佐藤知行は表情を曇らせながらも、うなずくしかなかった。
昨日の昼頃、生活指導の先生は匿名の通報を受け取り、7組に恋愛をしている生徒がいると告げられた。
その後、生活指導の先生が7組で訓話をしている時、クラスの国語委員が課題を集めていた。その手紙は、灰原優歌の課題の中から落ちてきたものだった。
全員がその場面を目撃していた。
「先生、これは私の席から見つかったものだから、私のものだと?」
灰原優歌は気にも留めずに問い返した。