第172章 お前は死にたいらしいな

生活指導の先生は考えるまでもなく「退学処分だ!」と言い放った。

その言葉を聞いて、橋口美月はよろめきそうになり、隣の雅子も胸が締め付けられた。まさか事態がここまで大きくなるとは!

これまでも、学校で恋愛している生徒たちを見つけることはあったが、せいぜい反省文や処分程度で済んでいた。

しかし今回は、明らかに状況が深刻だった。

「いいですよ」

灰原優歌は気にも留めずに唇を曲げた。

十分後。

イケメンとは程遠い男子生徒が入ってきた。体格ががっしりとして、小麦色の肌をしていた。

「先生、何かご用でしょうか?」

西尾翔は言い終わると、突然隣にいる橋口美月に気づき、心臓が飛び出しそうになった。

しかしすぐに、隣にいるもう一人の目を引くほど美しい女子生徒にも気づいた。どこかで見たことがあるような気がした。

その後。

西尾翔が状況を理解したとき、信じられない様子で目を丸くした。「お前は灰原...」

「西尾翔!この手紙は誰に宛てたものだ?!」

生活指導の先生は怒りで机を叩き、西尾翔を驚かせた。

すぐに、西尾翔も周りの視線に気づいた。

土屋遥と目が合うと、彼は呆然とした表情を浮かべた。

土屋遥がなぜここに??

しかしすぐに、西尾翔はその疑問を考えるのをやめた。

横目で見ると、思いがけず柴田裕也の冷たい瞳と出会い、濃密な殺気と危険な雰囲気を感じた。

西尾翔は足がすくみそうになった。

柴田裕也もなぜここに??!

しかも、こんな恐ろしい目つきで自分を見ている...

「西尾翔、この手紙は灰原優歌からなの?それとも美月からなの?!」雅子が即座に尋ねた。

西尾翔はそれを聞いて、すぐに事態を理解した。

彼は悪意のある目で灰原優歌を見つめ、心の中で驚いた。灰原優歌がこんなに美しいとは。先日噂で聞いたときは、でたらめだと思っていた。

以前。

転校する前、賭けに負けて灰原優歌に告白したことがあった。しかし、見るに堪えないほど醜い女子に断られるとは思わなかった。

そのため、彼は灰原優歌に散々な目に遭わせた。

だが、まさか今こうして再会できるとは、本当に縁としか言いようがない。

「灰原優歌...」

「西尾翔!」担任が厳しい声で遮った。

今の柴田裕也の目つきは、見ているだけで怖かった。