第186章 世界一幸せな場所

灰原優歌はお粥をすくう手を止め、苗木おばさんの焦りがよく分からなかった。

「ちょっとリラックスしに出かけたのかもしれません」

灰原優歌が言い終わると、苗木おばさんが説得を続ける前に、彼女を座らせて、「苗木おばさん、これも味見してみて、美味しいわよ」

苗木おばさん:「……」

……

朝食を済ませた後。

灰原優歌はテーブルの上を見渡し、金井雅守が持ってきたIDカードを見てから、それをポケットに入れ、資料を持って出かける準備をした。

A.M.計算技術研究所。

「このバカ野郎、早くガラスを拭けよ、なんでこんなに汚いんだ??見た目が悪いだろ、分かってるのか??!」

金井雅守が突然若者の机を強く叩き、彼を驚かせた。

「……」

このクソジジイ、何の問題があるんだ??

以前、上層部の幹部が来た時、彼は研究に没頭していて、ドアすら開けようとしなかった。幹部たちを玄関で1時間以上も待たせて……

今になって、ガラス拭きをさせようとするなんて??!

若者は考えた後、眉をひそめて、「まさか、おじいさん?今日は実習生が数人来るだけなのに、そんなに大げさにする必要あります??」

彼だって大先輩なのに、実習生が来るからって、自分でガラスを拭かなきゃいけないなんて?!!

なんだよ、将来の所長でも来るのか!??

それを聞いて、金井雅守は顔を曇らせ、若者の後頭部を叩いた。「今日はマーカス家の新しいメンバーが来るんだ。礼儀正しく接するんだぞ。

彼女をしっかりもてなして、A.M.研究所が世界で一番楽しい場所だと思わせるんだ」

若者は「世界で一番楽しい場所」という言葉を聞いて、鳥肌が立った。

彼は腕を組んで、警戒した表情で、「おじいさん、大物を誘拐するために僕を道具として使わないでください。

女の子なら分かりますけど、男性に色仕掛けしろっていうんですか??!」

ここは筋の通った研究所だ!何が楽しい場所だ!!

「……」

金井雅守は長い間我慢して、なるべく怒りを抑えようとした。

その後、作り笑いを浮かべて、「お前なんか相手にするわけないだろ?」

若者:「???」

「若い女の子だから、変なことするなよ」