第210章 お兄さんの彼女?

柴田の母はため息をつき、心の中では灰原優歌と仲良くなりたいと思っていた。

この娘は、見るからに気品のある顔立ちをしている。

もし自分の娘だったら、一年間精進料理を食べてお寺参りをしてもいい。

「あの...柴田夫人、彼女の連絡先を教えていただけませんか?」森口夫人は虎の尾を踏むような思いで、誠実な表情を浮かべた。

柴田の母の表情は一層険しくなり、「消した」という二文字だけを絞り出した。

この時、他の夫人たちは柴田の母がその場で怒り出すのではないかと恐れていた。

しかし幸いなことに、すぐに柴田裕香が来た。

「お母さん、どうしてこんなに遅かったの?」柴田裕香は笑いながら言った。

柴田の母はそれを聞くと、すぐに振り返って柴田裕香の側に行き、心配そうに言った。「言ったでしょう、足の怪我がまだ治っていないのに、どうしても土屋大夫人のお祝いに来たがって。」

「前に海外で一年間研修していて、土屋おばあさんにお会いできなかったから、今回は絶対に来なきゃいけないでしょう。」

それを聞いて、柴田の母の注意は、その言葉ではなく、柴田裕香の赤くなった目に向けられた。「裕香、目が赤いわよ?さっき泣いていたの?」

話題を変え、柴田の母は表情を冷たくした。「灰原優歌のせいでしょう!?」

「柴田夫人、何を言っているんですか?灰原さんは何もしていませんよ。」森口夫人は不快そうに言った。

他の夫人たちはそれを聞いて、森口夫人を敬服の眼差しで見た。

この森口夫人は男気がある。

突然、内田和弘が口を開いた。「柴田おばさん、申し訳ありません。私が裕香の面倒を見切れなかったんです。」

「そんなこと、あなたのせいじゃないわ。」

柴田の母はそれを聞いて、表情は和らいだが、心の中では灰原優歌への嫌悪感が一層強まった。

彼女が来るたびに、裕香は必ず問題に巻き込まれる。

「厄病神!」

誰もが、柴田の母が誰のことを言っているのか分かっていた。

このとき、柴田裕香は柴田の母の手を引いた。「お母さん、もういいの。前に、私も彼女に申し訳ないことをしたことがあるから。」

柴田の母は表情を曇らせ、唇を噛んで何も言わなかった。

突然。

「柴田おばさん、どうかされましたか?」遠くから、誰かが笑いながら言った。