久保時渡は尋ねた。「どの科目?」
「全部できない」
灰原優歌のその言葉は、自信に満ちていた。
久保時渡はずっと分かっていた。この少女はとても賢い。成績が良くないのは、基礎が弱いからかもしれない。
しかし、少女に素直に勉強させ、過去の学習を取り戻すのも簡単ではない。
「じゃあ、お兄さんが遅く帰っても大丈夫?」
久保時渡の眼差しは一層深く黒くなったが、その中には軽い冗談が漂っていた。
そして、ずっと盗み聞きしていた吉田東雄は、目の前の久保時渡がもう分からなくなりそうだった!
渡様が万年鉄樹に花が咲いたみたいだ??!
少女を冗談で煽るなんて!!?
ただ、制服スカートを着た灰原優歌を思い浮かべると、吉田東雄は渡様のこの感情が禁忌に満ちていると感じた。
灰原さんは成人してるのか??!