第193章 道端の花を摘んではいけない

久保時渡は尋ねた。「どの科目?」

「全部できない」

灰原優歌のその言葉は、自信に満ちていた。

久保時渡はずっと分かっていた。この少女はとても賢い。成績が良くないのは、基礎が弱いからかもしれない。

しかし、少女に素直に勉強させ、過去の学習を取り戻すのも簡単ではない。

「じゃあ、お兄さんが遅く帰っても大丈夫?」

久保時渡の眼差しは一層深く黒くなったが、その中には軽い冗談が漂っていた。

そして、ずっと盗み聞きしていた吉田東雄は、目の前の久保時渡がもう分からなくなりそうだった!

渡様が万年鉄樹に花が咲いたみたいだ??!

少女を冗談で煽るなんて!!?

ただ、制服スカートを着た灰原優歌を思い浮かべると、吉田東雄は渡様のこの感情が禁忌に満ちていると感じた。

灰原さんは成人してるのか??!