第215章 優歌が初めて柴田家に帰った時

しばらくして。

灰原優歌は鎖骨の前に冷たい感触が加わったのを感じた。

柴田裕也は灰原優歌にネックレスを付けてから、さりげなく手を離し、灰原優歌の姿を見つめながら、深い優しい眼差しを向けた。

「うちの優歌は、とても綺麗だ」

突然!

誰かがナイフとフォークをテーブルに落とし、多くの人の注目を集めた。

「うわっ姉さん、あのネックレス見て、ポセイベ女王のネックレスじゃない??!」人形のような顔をした少女が姉の手を激しく揺らした。

「見間違えてるんじゃない……」

「見間違えるわけないでしょ!私ジュエリーデザインを学んでるのに、無駄に学んだわけ!?これは間違いなく本物!!確か前にブランドメーカーが、このネックレスを模して、オートクチュールを出したけど、それでも四千万円もしたのよ!!!」

人形のような顔の少女は興奮した様子で。

他の人々はそれを聞いて、みな呆然としていた!

ポセイベ女王のネックレス?!

確か十年前の最後のオークションで、九千八百万円で落札されたはずだ!

今となっては、ますます価値が上がっているに違いない!!!

「そんなに高価なの?」

灰原優歌は眉をひそめ、以前柴田裕也が前の彼女にこのネックレスを贈ったことを思い出した。

でも、こんなに価値があるとは思わなかった。

「まあまあかな」柴田裕也は口元を緩めた。

柴田裕也がこのネックレスを落札した価格は、一億六千万円だった。やはり、これは本物のアンティークで、収集価値がある。

柴田裕也は覚えている。あの時、彼はまだローシェルで撮影中で、柴田裕香がうるさく騒ぎ立て、どうしてもあるオークションのブレスレットが欲しいと言い張ったので、彼も競売に参加した。

しかし、このブレスレットは世界に一つしかない。

柴田裕也はまた、家に新しい妹ができたことを思い出し、新しい妹にもプレゼントを用意しなければならないと考えた。

そこで、こっそりとこのポセイベ女王のネックレスを落札したのだ。

結局、これが新しい妹への初めてのプレゼントとなった。

そう思うと、柴田裕也の灰原優歌への眼差しは、ますます優しくなった。これは恐らく、彼が前世で唯一正しくやったことだろう。

「お兄さんはいつ優歌にそのネックレスを買ったの?」