「あなたのも、もちろんあるわ」
柴田陸信は彼女を横目で見て、突然唇を曲げた。
「お兄さんは私に何を用意してくれたの?」
柴田裕香は興奮した様子で、灰原優歌が精神病院から出てきて以来、次兄と三男は彼女にプレゼントを用意してくれなくなっていた。
「戸籍変更の証明書を用意しておいたよ」
柴田陸信のゆっくりとした一言で、柴田裕香の顔色が一瞬で青ざめた!
柴田の母も手に持っていたナイフとフォークを落としてしまい、すぐに立ち上がった!
「陸信、何を馬鹿なことを言っているの?!」
その時。
柴田裕也と柴田浪は静かに座って、感心した眼差しで柴田陸信を見つめていた。
さすが長兄!
「母さん、あなたの娘は他人のものでもいいけど、柴田家のお嬢様は灰原優歌しかいない」柴田陸信はワイングラスを置き、薄い唇を拭った。