第282章 才能を見せる!

「佐藤、この問題わかる?」

土屋遥は灰原優歌が余裕そうな様子を見て、心に違和感を覚え、思わず後ろに近づいて尋ねた。

「わかるけど……30分くらいかかるかな」佐藤知行はペンのキャップをいじりながら答えた。

この問題は、完全に範囲外だった。

試験で出たら、諦めるかもしれない。

結局、一問にそんなに時間をかけている余裕はないのだから。

「……さっきまで隣の席の奴に期待してたのに」土屋遥は思わず深いため息をついた。

灰原優歌があんなに楽々と書いているのを見て、隣の席の奴が隠れた秀才だと本気で思っていたのに。

「その期待は、間違ってないよ」佐藤知行は深い眼差しで土屋遥を見つめた。

「森谷さん、解き方持ってる?」

誰かが興味深そうに尋ねた。

森谷美貴は首を振った。「答えしかないわ」