第255章 イケメン軍団

柴田陸信はゆっくりと袖口のボタンを留め、柴田裕香を無視した。

それに柴田裕香の表情が凍りついた。

「お兄さん、私のクラスはこっちよ。」

柴田裕香は甘えるように小声で言った。「お土産を持ってきてくれたって言ってたじゃない?」

その言葉を聞いて、柴田陸信はようやく彼女に視線を向け、突然冷笑した。

低く響く磁性のある声音に、何となく冷たさが漂っていた。「確かにお前への土産は持ってきた。帰ったら分かるさ。」

言い終わると。

柴田陸信は黒い瞳を横に向け、柴田裕香を二度と見ようとはしなかった。

「お兄さん、ありがと...」柴田裕香が明るい笑顔を見せる間もなく、柴田陸信が七組の方へ歩き出すのを目にした。

この光景。

柴田裕香だけでなく、他の人々も思わず食い入るように見つめていた。

柴田家の三人の兄は、みな非常に端麗な容姿をしているが、特に長男の気品は格別で、人々に手の届かない存在という印象を与えていた。

皆の頭の中に、ただ一つの言葉が浮かんだ。

高嶺の花。

「申し訳ありません、上田先生。遅れてしまいました。優歌の保護者会は、まだ始まっていませんよね?」柴田陸信はゆっくりと言った。

その言葉に。

担任は体を硬直させ、柴田裕也と柴田浪は思わず振り向き、信じられない様子で柴田陸信を見つめた!

大兄はどうしたんだ??

こういう会議は大嫌いなはずじゃないか?優歌の保護者会に、誰か呼んだのか???

「兄さん、僕が先に保護者会に来たんですよ!」柴田浪は不機嫌そうに言った。

「俺は...」

柴田裕也が言い終わる前に、二人は柴田陸信の投げかける気だるげな視線に、威圧感を感じた。

柴田裕也、柴田浪:「???」

そこまでする必要ある??

本当の兄弟なの?保護者会一つで、こんなに争うの!??

この時。

場の空気は一気に凍りついた。

そして次の瞬間、灰原優歌の携帯が振動した。

携帯を開くと、久保時渡からのメッセージだった。

【もうすぐ着く。】

灰原優歌の美しい目尻が微かに動いた。「...」

この状況は、どう展開していくのだろう?

「隣の席の君、すごいね。柴田裕香は二人呼んだけど、君は三人揃ってる。」土屋遥は彼女の隣で冗談めかして囁いた。

灰原優歌は彼に微笑みかけて、「四人よ。」

土屋遥:「...」