第310章 渡様の手配

まして、この業界の人々は馬鹿じゃないから、灰原優歌と柴田裕香の間で、誰を選ばないかなんて分かっているはずだ。

灰原優歌と柴田裕香の誕生日の二日前、ネット上で突然ニュースが流れた。

内田家が柴田裕香の誕生日を祝うため、プラチナパレスを一日貸し切ったという。

これはスタンダードルームの宿泊料金が一万円を超えるホテルだ!内田家がこれほど大掛かりにプラチナパレスを貸し切るなんて、千万円近くかかるんじゃないか!!

一日で千万円、内田家の柴田裕香への気の入れようは、確かに驚くべきものだった。

ネット上では賞賛の声が溢れていた。

【すげぇ、柴田裕香はまさにお姫様だな。本物のお姫様じゃなくても、誰かが彼女をお姫様として扱ってるんだ。】

【プラチナパレス……これは柴田家に先を越されないようにってことか?[犬顔]】

【上の人は柴田家の味方してるの?ふん、実の娘が来たら、養女なんていらないってことでしょ。それに、内田家は今、柴田家より勢いがあるじゃない。】

【内田家の方が勢いがあるって言ってる人は、新しく就任した柴田社長が外でどれだけの大型プロジェクトを手がけているか知らないんじゃない?

今回の主神図のプロジェクトなんて、柴田家にとっては大したことないんだよ~】

【はいはい、実の娘がすごいってことね?じゃあ、柴田家がどこで実の娘の誕生日を祝うのか見てみましょうよ。】

【ははははははプラチナパレスが既に押さえられてるのに、柴田家はどうするの?一日前か一日後に予約する?

そう言えば、柴田家は実の娘にそこまで関心がないみたいね……】

……

ネット上の様々な憶測や議論を見て、柴田裕也は表情を変え、すぐに久保集団へ向かった。

「用があるのか?」

男は目も上げずに、書類の処理を続けていた。

「二日後のプラチナパレス、私に貸してくれないか?」

柴田裕也は付け加えた、「倍の料金を払う。」

「この件は、部下に言えないのか?」久保時渡は言葉を聞いて、ゆっくりと彼を見た。

柴田裕也は顔を曇らせた:「……既に誰かに押さえられている。」

久保時渡は気にも留めず軽く笑い、椅子に寄りかかったまま、淡い瞳で漫然と言った、「なんだ、ライバルに押さえられたのか?」

「いや、もっと卑劣な奴だ。」