灰原優歌はまだヴィックと決着をつける気はなかったが、後ろにいた佐藤知行が突然彼女の肩を叩いた。
「灰原様、誕生日会はどう予定されてるんですか?」
「ケーキを食べるかな」
灰原優歌も誕生日にどんな趣向を凝らせばいいのか分からず、続けて言った。「食べたいなら、その時に住所を送るわ」
「……はい」
佐藤知行はまぶたを痙攣させた。彼女は自分がケーキを食べたいから誕生日会に行きたがっていると思っているようだった。
「僕も行きたいです!」土屋遥が即座に言った。
「土屋家は招待するはずよ」灰原優歌はゆっくりとiPadを弄りながら言った。
その時、佐藤知行は再び灰原優歌に向かって言った。「柴田裕香がニレイ十八令嬢舞踏会に招待されたけど、断って雲城で誕生日を祝うつもりだって聞きました」