その言葉に、柴田裕香は心を揺さぶられた。
本当に灰原優歌を柴田家から追い出せるのだろうか?
「あなたの三人のお兄さんは、以前のように裕香だけを可愛がってくれるわ。裕香、そうなってほしくないの?」
柴田裕香は唇を噛み、目の奥に憎しみの色が浮かんだ。
そうなってほしい。
灰原優歌さえいなければ、自分は追い出されることもなく、野良犬のような扱いを受けることもなかったはずだ。
「裕香、それに私たちは素敵な友達になれるわ。」
その人は優しく諭すように言った。「こうしましょう。国際音楽協会の会員枠を一つ、私からの最初のプレゼントとしてあげるわ。どう?」
柴田裕香は体が固まった。
彼女は前からこの人が柴田家とは比べものにならないほど高貴な身分の持ち主だと知っていた。
しかし、ニレイ十八令嬢舞踏会も国際音楽協会も、この人が枠を用意できるとは思わなかった。